あいだに立ってぼうっとしているひとにはなりたくない。

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いやいや、お米の卸売企業ってそんなことまでやっているの? 《デジタルアグリー》
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ほかの国々とのコネクションってどうやって作っているの? 《海外にゆくお米》

ほかの国々とのコネクションってどうやって作っているの? 《海外にゆくお米》

最近は外国に行くとお寿司屋さんがあったり、コンビニにごはんがあったりする。神明さんも、日本の農家の方がつくった素晴らしいお米を海外に卸しているようだ。それを聞いて私はふと不思議に思ったのだけれど、ほかの国々とのコネクションってどうやって作っているのだろう。漠然と「海外では最近、ヘルシーな日本のお米が人気!」という印象は持っていたけれど、ちゃんと取引先を見つけないと輸出できないなあという当たり前の事実を考えたことがなかった。

お米の輸出について、“声をかけられる”より“声をかけている”そうだ。卸してくれませんかという要望が舞い込むのを待つのではなくて、お米を食べてもらうために国境も関係なく自分たちで発信していく。

ただ、ゼロからのスタートばかりというわけではない。すでに持っている国内での繋がりがチャンスをくれるらしい。というのも、神明さんのお米を扱っている日本のスーパーやモールが外国へ出店した場合、神明さんの商品を外国店舗にも置いてみないかと提案があるそう。1902年の創業以来、卸売企業として多方面とコネクションを持ち続けてきた努力の賜物ではないだろうか。そして、前述のように外国店舗に商品を置いてもらえた場合、そこで終わりではなく、その店舗周辺の現地スーパーや飲食店にも営業をかけてみるそうだ。するとお米を設置してくれることになった現地の企業に子会社があり、国境を越え今度はその子会社へ……という嬉しい連鎖もあるらしい。

ワールドワイドにお米ネットワークを広げるには瞬発力が大事なのだと思う。機会が転がってきたときに悩みすぎては逃してしまう縁もあるだろう。そして外国に赴く神明さんのメンバーは、国内の状況も人一倍把握していないといけないそうだ。「あのお米いま(在庫が)ないな、とか、このお米は海外に持って行ったらめちゃくちゃ高くなるんじゃないかな、とか。その時にわからないとやっぱり返事できないじゃないですか」。日本国内で営業の経験を積んだ“米のプロ”が、現地でばりばり活躍する。そのお仕事ぶりが、私たちが海外旅行をしたときに見るあの景色──外国なのに日本米を見かける!という状況の一端を担っているのかなと感じると、海を隔てて日本米を見かけることは殊更特別なことに思い、ちょっとどきどきした。格好いい。今度海外旅行をするときに日本のお米と巡り会ったら、興奮してしまいそうだ。